【音楽配信の方法】どちらを選ぶ?老舗のTuneCore?新進気鋭の「BIG UP!」か。

日本の音楽配信代行サービスの草分け的存在の「TuneCore」。
それに対し、運営会社がエイベックスと超大手で、後発ながらジワジワと勢力を伸ばす「BIG UP!」。
DTMerもバンドマンもシンガーソングライターも、世の中に自分の音楽を発信するひとつの手段として、近年は音楽配信サービスの需要が高まっています。
オリジナル音源の配信方法については、例えばYouTubeやニコニコ動画なら無料で、かつ手軽にリリースできるでしょう。
しかしApple MusicやSpotifyでのストリーミング配信や、iTunesやAmazonでのダウンロード販売を行い、音楽を聴いてもらって収益を得るには、音楽配信代行サービス(ディストリビューション・アグリゲーター)の手助けが必須。
YouTubeの収益はご存知の通り、広告収入です。
それが悪い訳ではなく、うまく使い分けることがこれからのアーティストには求められていて、それぞれをうまく利用しているバンドやアーティストも数多く存在します。
日本でもひと昔前からたくさんの音楽配信代行サービスが登場し、終息し、淘汰されてきました。
生き残ってきた「TuneCore」はぼくも利用しているサービスのひとつ。
そして今検討段階に入ってきているのが「BIG UP!」です。
TuneCoreとBIG UP!、どっちのサービスを利用した方がお得なのか、それぞれの特徴を調べました。
「TuneCore」と「BIG UP!」の料金比較
それぞれの配信料、還元率などを公式ホームページを参照し、まとめてみました。
TuneCore | BIG UP! | |||||
音楽配信 | 通常プラン | 配信料 (税抜) |
シングル | 1年間 | ¥1,410 | ¥1,380 |
2年間 | ¥2,650 | ¥2,600 | ||||
3年間 | ¥3,790 | ¥3,700 | ||||
アルバム | 1年間 | ¥4,750 | ¥4,500 | |||
2年間 | ¥8,560 | ¥8,150 | ||||
3年間 | ¥12,370 | ¥11,750 | ||||
還元率 (ストアの手数料除く) |
国内ダウンロード | 100% | 60% | |||
国内サブスクリプション | 100% | |||||
海外ダウンロード | 100% | |||||
海外サブスクリプション | 100% | |||||
フリープラン | 配信料 (税抜) |
シングル | 1年間 | なし | ¥0 | |
2年間 | ||||||
3年間 | ||||||
アルバム | 1年間 | |||||
2年間 | ||||||
3年間 | ||||||
還元率 (ストアの手数料除く) |
国内ダウンロード | 50% | ||||
国内サブスクリプション | 70% | |||||
海外ダウンロード | 50% | |||||
海外サブスクリプション | 70% | |||||
YouTube収益化 | 初期費用 (税抜) |
¥1,410 | ¥0 | |||
還元率 | 80% | 34% |
※サブスクリプション=ストリーミング
表にして比べてみると、BIG UP!の安さが特徴的です。
逆に還元率はTuneCoreが勝ります。
ちなみにシングルの定義は1曲の配信、2曲以上だとアルバム配信とされます。
金額的にお得なのは複数収録できるアルバムです。それはどちらのディストリビューターも同じですが、最近はシングルでの楽曲リリースが盛んになりつつあります。
それぞれの特徴
一長一短で差別化と競争を図る両サービス。
どちらの方が良いというのは一概には言えませんが、それぞれ特徴的な施策を展開しています。
TuneCoreの特徴
DOD (Disc on Demand) 受託サービス
AmazonでCDを販売できるサービス。
在庫リスク0、追加コスト0であなたのCDをAmazon.co.jpで販売できるサービスです。
『Amazon Disc on Demand』の仕組みを利用することで、カスタマーからの注文に応じて必要な枚数だけのCDをAmazon.co.jpが生産し、販売、出荷までを一貫して行います
とのこと。(TuneCoreホームページより引用)
在庫リスク0というのはかなりの魅力です。
CD作成に必要なロットや在庫リスク、販売の手間を省くことができます。
デメリットとしては受け取れる収益が販売価格(税抜) ✕ 42%というところ。(1000円なら420円)
また当然ながらAmazonのみでの販売というところ。
しかし、販売する手間ひまを考慮したり、ライブ活動をあまりせず、手売りでCDを売る機会の少ないアーティストにとっては魅力があるかも。
逆にガンガンライブをし、物販やコミュニケーションツールとしてCDが必要なアーティストにとっては不必要なサービスです。
シンプルなサービス形態
配信のみで余計なサービスはいらない!という人にとっては良いかと。
ぼくはあまりいろいろな機能やサービスが必要ないと考えているので、このシンプルさが魅力に感じています。
BIG UP!の特徴
超大手「エイベックス」が運営
大きな強みでしょう。
国内の知名度はもちろん、資金力や業界への訴求力は侮れません。
フリープランの存在
無料で配信を開始でき、収益も受け取ることができるのは他のディストリビューターにはない魅力。
還元率は下がりますが、手軽なリリースが開始できるのは嬉しいかも。
アーティストページの作成
おそらくBIG UP!の大きな強みでしょう。
ホームページやブログなどを持たないアーティストにとって、プラットフォームは必要だけれども敷居の高いツールなのでは。
これをカバーしてくれるのはBIG UP!を使う上で大きなメリット。
ただしこれでは囲い込みになってしまうのではないかとひとつ懸念材料。
自身のホームページというよりはBIG UP!の中のひとつのページ、つまりFacebookの自分のページのようなもの。
完全に独立して使うことはできなそうなので、やはりオリジナルのホームページやブログを持てる方が、アーティストとしては宣伝しやすいでしょう。
その他の個性的なサービス内容
BIG UP!SHOPでのCD/DVDの販売、マスタリングサービス、MVなどのコンテンツ制作、CD/DVDのプレス・制作など、アーティストの需要に応えるサービスが多数揃っています。
同じ(似たような)ところ
YouTubeコンテンツ収益化
初期費用や還元率に違いはあるものの、サービス内容は同じ。これをメインで考えている場合は要比較検討。
YouTubeにアップロードされる動画にあなたの楽曲が使われていると、収益をあげることができるサービスです。例えば、ファンなど第三者が投稿したYouTube動画(UGCコンテンツ)にあなたの楽曲がBGMとして使用された場合、そのYouTube動画は収益化の対象になります。
TuneCoreホームページより
配信ストア
下記が一覧です。(公式ホームページから引用)
主要なストアは、両サービス共に網羅されていると考えて良いでしょう。
でもリストを見比べているとただひとつ、気になる点が・・・。
TuneCore
配信ストア
- iTunes Store
- Apple Music
- Amazon
- music.jp STORE
- oricon ME!
- Spotify
- KKBOX
- うたパス
- レコチョク
- mora
- Media Do
- Google Play Music
- e-onkyo music
- LINE MUSIC
- AWA
- SMART USEN
- dwango.jp
- OTOTOY
- Rakuten Music
- mysound
- DEEZER
ディスカバリー・サービス
BIG UP!
- Amazon Music Unlimited
- Apple Music
- AWA
- dヒッツ powered by レコチョク
- dミュージック月額コース
- Google Play Music (サブスクリプション)
- kkbox
- LINE MUSIC(サブスクリプション)
- OTORAKU
- Rakuten Music
- replay
- Spotify
- ニンテンドー3DS レコチョク
- うたパス
- SMART USEN
- ひかりTVミュージック(サブスクリプション)
- レコチョク Best
- Amazonデジタルミュージックストア
- dミュージック powered by レコチョク
- GIGA MUSIC
- Google Play Music (ダウンロード)
- HAPPY!MUSIC+
- iTunes Store
- JOYSOUND
- LINE MUSIC(ダウンロード)
- mora
- mu-mo
- music.jp STORE
- My Sound
- TSUTAYAミュージコ♪
- オリコンミュージックストア
- ドワンゴジェイピー
- ひかりTVミュージック(ダウンロード)
- レコチョク
- OTOTOY
ShazamはTuneCoreのみ!
これは盲点。
クラブや街中で気になった音楽を音声認識で探してくれるアプリ「Shazam」。
例えばあなたの音楽が配信され、耳の早いDJがあなたの楽曲を気に入り、クラブでかけてくれたとします。
その曲に関心を持ったフロアの人たちが「Shazam」ユーザーなら、一気にあなたの楽曲が広まります。
BIG UP!もそのうち対応しそうですが、今のところは未対応のようです。(2018年3月時点)
レポート機能
体裁や内容は異なりますが、どちらもレポート機能がついていて、いつどこで聴かれたのかが分かるようになっています。
分析に使うも良し、聴いてくれた喜びを噛みしめるも良し、です。
まとめ
個人的に使っているサービス「TuneCore」と、これから使おうか迷っているサービス「BIG UP!」について比較しました。
どちらも良いところ、不満なところはありますが、ぼくが感じたこと、それは、
アーティスト活動をこれから始めるのであれば「BIG UP!」、土台ができている(市場の把握や自身のプラットフォームの整備)のであれば「TuneCore」を利用した方が良いのでは、ということです。
もちろんずっと「BIG UP!」でも始めから「TuneCore」でも良いと思います。
なんせこれからどんどん時代が変化し、リスニングのスタイルも大きく変わっていくであろう世の中です。
その時、その環境と自身のアーティスト活動に合ったサービスを選んでみてください。
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